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1−なぜ道徳が必要なのか 道徳とはどんなものなのか
台本制作&語り 白井勝文
1− なぜ、道徳が必要なのか、と言った事をお話しする前に、先ずは、
知っておかなければならない大事な事があります。
それは、この世で生活していくには、決して一人で、生きては
いけない、という事を理解しなければなりません。
人という字は、「人が寄り添い、助け合っている姿」を、形として
現したのが、人という字になっているのです。
この寄り添い、助け合っていると言うことが、非常に意味あること
なのです。人は、多くの人とのかかわりの中でこそ、生き、生か
され、自分を磨き上げることが出来るのです。
決して一人では、生きていけないと言うことです。
その、人との係わりの中で、一番基本となるのがこの道徳なのです。
また道徳を身に付けることで、礼儀正しい人だ、気持ちのいい人だ
と、他人からも尊敬され愛され、良い友達をたくさん持つ事が出来
るのです。
この様な意味からしても、人と係わって生きていく事が、如何に
大切なものかと言うことが、よくわかりますね。
2− では次に、人との係わりが大事である、と言う事が分かりましたが、
集団で生活をする時、最低限必要な、ルールと言うものが有るの
です。
しかしそのルールは学校の校則のように、文章で決められる様な
ものではないのです。また決めることが出来ないものなのです。
それは、いろいろな人との係わりには、いろいろな場面がある為
そのつど、人との係わりを規則で決めると言うことは、出来ない
ものなのです。
ここで重要な事は、道徳とは、規則として決められないと言う事。
そうです、道徳とは規則で決めるものではなく、人が身に付ける
ものなのです。
3− そして道徳には、相手に対して持つべき姿勢と、また自分に対して
やるべき大切な事が、それぞれ三っずつあります。
この最低限、守らなければならない三っずつの事柄こそが、道徳
の柱なのです。
道徳を身に付けると言う事は、団体生活や友達との係わりを楽しく
滑らかに保つために、絶対欠かせる事が出来ない、大事なことなの
です。
いわゆる道徳は、人と人とが接する時に、滑りを良くする為の、油
みたいなものなのです。
今日はこの道徳について、相手に対して持つべき姿勢と、また自分に対して
やるべき事、それぞれ大切な、三つの事柄についてお話したいと思います。
2−人間関係における三つの姿勢
先ずは、学校生活の中で、道徳として身に付けるべきものとして、相手
に対してして持つべき姿勢、自分に対してやるべき事。この二つの立場
から、道徳と言うものがある事を知ってください。
更に、二つの立場のそれぞれに、重要な事がこれまた、三つずつあるの
です。
それでは相手に対して、自分に対して、それぞれの立場における、道徳
の基本となるお話を致しましょう。
*相手に対する姿勢
それではまず、相手に対して持つべき姿勢として、三つの大事な事が
あります。
その一つ目としては、
1−相手の立場に立って物事を考えてあげる、思いやりの心を持つ
ことです。
この、思いやりの心や、優しい心を相手に対して持つことで、
優しく、穏やかな人になることが出来るのです。
相手の立場に立つと言う事は、相手の痛みが判ることであり、
当然いじめや、悪口、無視をするなど、相手の苦痛となるような
事は、出来なくなるはずです。
また、人を愛すること、優しくする事は逆に、人からも愛され、
優しくされる事でもあるのです。
次に相手に対する姿勢の二つ目としては、
2−相手を許す、広い心を持つことです。
いろいろな人と係わっていく間には、人から悪ふざけをされたり、
悪口を言われたり又、からかわれたり、いろんな嫌なことを
される事も出てくることでしょう。
でも些細なことなら、また相手が謝って来たなら、それを許して
あげる、広い心を持つ事です。
この、人を許す広い心を持つと、小さなことにもこだわらず、
何事も前向きに取り組む、積極的な性格をつくる事が出来るの
です。
それでは、相手に対する姿勢の三つ目としては
3− 相手を誉め、認める潔い心を持つことです。
それぞれ人には、学力や運動能力、それに芸術的センスなど、
いろいろな分野で、さまざまな能力を持っているものです。
友達が自分より優れていたら、羨ましい気持ちをもたず、素直
に認め、それを褒めてあげられる事は、凄いことなのです。
この、人を誉め、認める潔い心を持っている人は、常に向上心
を持ち、前向きに進む事が出来る人なのです。
人には、スポーツが得意な人、勉強が凄くできる人、歌の上手な
人、そして絵のうまい人など、それぞれに違った特技や才能が
あるものです。
人を誉めることが出来る人は何時か必ず、人から誉められるよう
な才能を、発見することができます。
そして、人から誉められるような人に、なれるのです。
この様に相手に対して持つべき姿勢を、まとめてみますと。
1−相手の立場に立って物事を考えてあげる、思いやりの心を持つこと。
2−相手を許す広い心を持つこと。
3−相手を誉め、認める潔い心を持つこと。
この三つの心が、相手に対する姿勢として大事なことなのです。
*自分に対してやるべき事
それでは今度は、自分に対してやるべき事ですが、これもまた、三つあるのです。
自分に対してやるべき事の一つ目としては
1− 自分に対して嘘を付かない、正直な態度であること。
これは常に、人が見てようが、見てまいが、人に分かろうが、
分からまいが、自分自身に対して嘘をつかず、曲った事をしな
い正しい、正直な生き方をすることです。
この自分自身に対して、と言う事がもっとも大事なことです。
人が見ているからやらない、とか、人に分からないからやる、
と言った、陰日なたのある生き方は必ず何時かは、人に分かって
しまうものなのです。
陰日なたのある人は、人から信用されません。
いつかは相手にもされなくなってしまい、淋しい道を、歩かねば
ならなくなってしまうのです。
次に自分に対してやるべき事の二つ目としては
2− 規則、約束など、決められた事を守ること。
集団生活をするには必ず、規則と言うものがあるものです。
学校には校則があり、社会には法律があり、また車の運転には
交通法規があります。
これら決められた事を守るのは、非常に大事なことなのです。
法規を守らない事は、時として犯罪となったり、また事故の元と
なったり、社会でいろいろ生活をして行く事うえに、障害を
もたらします。
この規則や法規を守る事は、結局は自分を守る事である、と言う
ことをしっかり、知っておくことが大切です。
それに、友達や他人との約束を守ることも、非常に大事なことです。
これが出来ない人は、回りからも信用もされず、仲間はずれと
なってしまいます。
それでは、自分に対してやるべき事の三つ目としては
3− 何事にも我慢する忍耐力を持つこと
この忍耐力を持つ事は、一口に言えば何事にも我慢をする事であり
非常に大事なことです。
暑さや寒さのような、自然界からくる厳しさを我慢したり、楽をし
たい、楽しみたいと言う、自分の心の中から沸き起こる気持ちを我慢したり、
逆に、したくなくてもしなければならない勉強のつらさや、
苦しくても上手になるために、繰り返し繰り返しやる練習や稽古など、
いろいろな苦しみに耐える事が、強い人間に自分を成長させてくれるのです。
そして、この忍耐力を身に付けることで、やるべき事をやる使命感や、
最後までやり遂げる責任感というものが養われ、大人になる資格を
持つことが出来るのです。
大人になると言う事は、したくても、してはいけない事はせず、した
くなくても、しなければ為らない事は成す、つまり我慢できる力を、
身に付けることなのです。
この様に、自分に対してやるべき事を、まとめてみますと。
1−嘘を付かず、正直であること
2−規則や約束など、決められた事を守ること
3−何事にも我慢する、忍耐力を持つこと
この三つのことを、人との係わりの中でしっかり実行することが、自分に対して
やるべき事を身に付けたと、言う事になるのです。
今回あげた道徳について、相手に対しての姿勢と、自分に対してやるべき
事の、れぞれ三つの事柄は決して、難しいことを言っているのではありません。
ごくごく当たり前のことを、当たり前に言っているだけなのです。
しかし、この当たり前のことが、当たり前に出来ないのが、道徳を身に付ける
難しさなのです。
しかし、道徳を身に付けようと決意すれば、学力も運動能力も芸術的才能も、
特別な能力は必要ないのです。決意さえすれば誰でもが身に付ける事が出来る
のです。
そしてこの道徳は、まだ自我が固まらない「若いうちに身に付ける」と言うことが
非常に重要なことで、自我が固まってからは中々、身に付けることが出来なくなる
ものです。昔から「鉄は熱いうちに打て」と言う諺があります。
真っ赤に焼けた鉄は思い通りに、その形を作り上げることが出来るのですが、
固まってからは全く、出来なくなってしまうのです。
最後にこの道徳は、人との係わりの中で実行することが、さらに大事なこと事で
あることを、付け加えておきたいと思います。
実行を伴わないものは、どんな良い事でも、何の意味もありません。
いつでも、どこでも、いつまでも、生涯これを実行することが非常に大事なことなのです。
さあ!皆さん、今日からこの道徳を、実行しようではありませんか。
以上、この道徳についてのお話は、平成19年10月、静岡市立袖師中学校、
全校の、道徳講演で語った内容の一部を、まとめたものです。
平成20年3月24日月曜日
制作 語り 津軽三味線 白井勝文
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